我が家は約2年間の不妊治療の末、
私が36歳、妻32歳の時に第一子を授かることができました。
すぐに子供が授かれなかった理由は一概に言えませんが
「私の精子の状態が良くなかったこと」が
要因の一つであったと自己分析しています。
そこで今回は「男性不妊」に関する体験談を共有したいと思います。
- 現在、不妊治療中の方
- これから不妊治療を始める方
- 男性不妊の実態を知りたい方
- 精索静脈瘤と診断された方
2024年現在、日本ではカップルの約15%が不妊に悩んでおり
その約半数は男性に原因があると言われているらしいので
私の経験談が不妊に悩まれている方の少しでも参考になれば嬉しいです。
(参考資料:男性不妊の実態調査2024:男性の年齢と精子の質に関する最新データ | 医療法人奏仁会のプレスリリース)
不妊治療開始時
下記が、不妊治療開始時の私と妻の状況です。
項目 | 状態 |
年齢 | 私 34歳、妻30歳 |
職業 | 夫婦ともに会社員(ともに営業職) |
休み | 土日、祝日(カレンダー通り) |
残業 | 夫婦ともに月40時間以上 |
ストレス | 夫婦ともに高い状態 |
食事 | 外食はほとんどせず、自炊 |
睡眠 | 夫婦ともに浅い睡眠 |
疲労 | 夫婦ともに疲れている状態 |
酒・たばこ | 私は一切せず、妻お酒少しだけ |
運動 | 夫婦ともにほとんどせず |
働き方 | 在宅多め、長時間座りっぱなし多め |
薬の服用 | 夫婦ともになし |
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運動不足でストレスフルな生活であることは間違いありませんでした。。
結婚をしてから3年間は子供がいない内にしかできないこと(旅行など)を楽しんで
お金も貯めようと夫婦で話し合って決めていたので、特に妊活はしていませんでした。
そして、結婚4年目から妊活を始めてみたのですが、なかなか上手くいきません。
ただ妻もまだ30歳でしたし、時間の問題でいずれは妊娠するだろうと当時は考えていました。
妊活を開始して半年が経過した頃、そもそも不妊の定義は
どれくらいの期間妊娠をしないことを指すのだろうと思い
ネットで調べると下記のように記載がありました。
【不妊症の定義】
生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間
避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず
妊娠の成立をみない場合を不妊という。
その一定期間については1年というのが一般的である。
なお、妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問わない。
(参考資料:不妊症 – 公益社団法人 日本産科婦人科学会)
半年間、妊活をし続けて結果が出ていない状況でしたが
上記の定義からすると私たちが不妊と断定するには
まだ半年間ある状況でもありました。
ただ私も妻も30代ということもあり
とりあえずいったん、お互い身体に異常がないか検査してみようと
早い段階で病院にいくことを決めました。
(今思えば、この早い決断が功を奏したと思います)
クリニック選び
「男性不妊」と検索すると、たくさんのクリニックがヒットすると思います。
その中から一つのクリニックを選ぶ基準はなかなか難しいところがありますが
私は以下のポイントでクリニックを選びました。
- 職場からも家からも近いところ
- 男性不妊を専門とする医師がいるところ
- 保険適用外でも名医がいるところ
私が選んだクリニック「男性不妊の恵比寿つじクリニック 」
保険適用外のクリニックではありましたが
「東京都の不妊検査助成」が適用されるクリニックだったため
5万円を上限に助成を受けることができました。
また、仕事帰りに通えるアクセスの良さと
何より男性不妊を専門でされていて、実績のある医師だったことが決め手でした。
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実際に助成が受けられるクリニックかどうか
事前に確認してみてください!
東京都の不妊検査等助成については
下記をご参照ください。
【参考】不妊検査等助成事業の概要|不妊検査等助成|東京都福祉局
検査結果について
結論からお伝えすると、まず妻は異常なし。
そして私は精液検査をしたのですが、「正常形態率が3%」で
WHO(世界保健機構)が定めている精液検査正常値の4%を下回っていました。
(正常形態率以外は正常な値でした)
主に精液検査では下記の項目を調べることになります。
精液検査 | WHO基準値 |
---|---|
精液量 | 1.4ml以上 |
精子濃度 | 1,600万/ml以上 |
運動率 | 42% |
総精子数 | 3,900万 |
正常形態率 | 4% |
正常形態率という言葉は精液検査をしないと一生関わらない言葉かもしれませんが
要は「形の良い精子がどれだけいるかという割合」ですね。
精子のほとんどは形態が不良のため、4%以上形態が正常であれば
WHOが定めている基準値に達しているということです。
(参考資料:精子の形 正常形態率とは? – ニニンカツ by TENGA HEALTHCARE)
この精子の形態が異常になってしまう原因は生活習慣など様々らしいのですが
私の場合は検査の中で、睾丸に血液が逆流していることが分かり
お腹から逆流した温かい血液が睾丸の温度を上昇させ
精子を作る働きに悪影響を及ぼしている可能性があると医師から言われました。
この睾丸に血液が逆流してしまう状態を「精索静脈瘤」というそうです。
※私の場合は片方の睾丸のみ。中には両方の睾丸で精索静脈瘤になる方もいるそうです。
(参考資料:精索静脈瘤について | 男性不妊の恵比寿つじクリニック)
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この時、あぁ私が原因で妻が妊娠しないんだと
とても落ち込んだのを鮮明に覚えています。
精索静脈瘤の手術を決断
医師からは妊娠するにあたり「精子の形態はとても重要」と教えていただき
とにかく睾丸を温めないことを指導いただきました。
生活習慣の改善(運動習慣や食生活など)やサプリメントの摂取で
一定の改善は期待できるとも教えていただきましたが
私は妻に相談したうえでサプリメントの摂取と同時に手術することを決めました。
(ちなみに、私はこれまでの人生で一度も手術をしたことはありませんでした)
<手術を決めた理由>
・不妊の原因が私にあることが明確であったため。
・精子の正常形態率を上げれば妊娠の可能性が高まることが明白であったため。
・精子の正常形態率を上げるためには精索静脈瘤の手術をすることが効果的と考えたため。
精液検査を受けに行かない男性が多いと聞きますが
私の場合は前述の通り、早い段階で精液検査をしたことと
早い段階で精索静脈瘤の手術を決断したことが良かったと感じています。
手術の状況
予約
まず、手術の予約はとても取りづらかったです。
最短でも2か月後、金土日は早くから埋まってしまう状況でした。
結局、他の患者さんがキャンセルした1か月先の平日(午前中)で予約をしました。
手術
手術の状況はQ&A方式で説明します。
※手術のやり方は下記ページをご参照ください。
精索静脈瘤について | 男性不妊の恵比寿つじクリニック
- 痛かったか?
-
局部麻酔で痛くはなかったです。
ただ、下腹部で紐がキュイーっと引っ張られる感覚があり
一時的に違和感を感じたのを覚えています。 - 手術の所要時間は?
-
おおよそ1時間ほどで終了しました。
- 手術をした後はどんな感じ?
-
手術直後は歩くと違和感は感じますが全然歩けます。
付添いも必要なく、自力で歩いて自宅まで帰りました。 - 手術当日は仕事した?
-
午前中に手術をしましたが
当日は念のため終日有給を取得していました。
※人によっては午後お仕事される方も多いと聞きました。 - アフターフォローはどうだった?
-
手術の翌日がクリニックの定休日だったのですが
万が一何かあった場合に備えて先生の携帯番号を教えてくれました。 - 手術室はどんな感じ?
-
↑こんな感じ。医師1人と看護師1人でした。
※写真はHPより引用。 - 手術の跡は残る?
-
ほとんど残らないです。
1年ほど経過して、まったく目立たなくなりました。
精液検査の結果(術前と術後)
■術前(正常形態率:3%)※22年3月1日


■術後(正常形態率:6%)※22年7月2日


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正常形態率が3%→6%へ上昇し、改善されていますね!
精索静脈瘤の手術を受けてもすぐには効果が表れず
早くても3か月以降に結果として現れることが多いそうです。
費用について
精液検査および精索静脈瘤の手術(片方)で
費用の概要は以下の通りです。
【検査・手術】
■275,000円
・精液検査:110,000円
(11,000円×1回、33,000円×3回)
・精索静脈瘤の手術(片方):165,000円
——————————————
【助成・保険】
■150,000円
・東京都の不妊検査等助成:50,000円
・個人で加入の民間保険:100,000円
【自己負担】
■125,000円
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医療保険からの10万円は大きかったです


結局、子供は授かれたのか
前述のように手術をして、数値上の効果も確認できたのですが
そこからすぐに自然妊娠してというわけではありませんでした。(私たちの場合は)
結局、約2年間の妊活・不妊治療の末に子供を授かることができましたが
大まかな流れは下記のようなイメージです。
私自身、精索静脈瘤の手術をして成功すれば
すぐに結果(妊娠)が出るものだと過信していた部分もあり
妊娠することがどれだけ奇跡なのかを思い知ることとなりました。
本記事では精索静脈瘤の手術に関する内容をメインにしているため
人工授精以降の経験談は割愛します。
(別記事で準備ができましたら、発信予定です)
子供を授かることのできた直接的な要因が
精索静脈瘤の手術であったかは不確かですが
ベースとなる精子の状態を一定基準値以上にできたことは
少なからず良い影響をもたらしてくれたと私は考えているので手術をしてよかったと思います。
まとめ
妊娠(出産)するために鍵となるのは、やはりスピードが勝負だと感じました。
このスピードという意味は当然「年齢」もありますが
「病院に行く決断」、「手術の決断」、「夫婦で真剣に話し合うタイミング」など様々です。
そして、このスピードを速めるためには「男性側の意識」がどれだけあるか
どれだけ「自分事として捉えられるか」が鍵だと考えています。
妊活や不妊治療をすれば、子供は授かれると錯覚しがちですが
現実はそうではないことが多々あることをまずは知り
率先して男性側が動く、そして情報を集めることが
本当の意味でのスタートだと認識して、実践していきましょう。
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