今回は、老後資金について計画してみたので紹介します。
2019年に老後2000万円問題が騒がれてから早6年、あれからコロナ禍を経て、
最近では急激にインフレが進み、2000万円ではなくて3000万、いや5000万必要なんて話も出てきました。
さ、さすがに5000万円は大げさではないの、と思いつつ、
我が家の老後資金について計画してみたいと思います。
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5000万円は大げさでしょう、、いや、大げさすぎますよね、大げさでなきゃ困る!笑
老後2000万円問題とは
「老後2000万円必要」ということは耳にされたことがある方も多いと思いますが、
そもそも老後2000万円問題とは何だったのか解説します。
事の発端は、金融庁が提出した「金融審査会市場ワーキング・グループ報告書」の内容です。
高齢者夫婦無職世帯の平均的な家計収支をもとに計算をしたところ、
毎月5万4520円不足するため、残りの寿命を30年と仮定し他場合に約2000万円の貯金が必要と算出されました。
5万4520円×12ヶ月×30年=1962万円
ただ、「老後2000万円問題」という言葉が一人歩きしてしまったのですが、
本来この報告書の目的は、老後2000万円の貯蓄をするために早期の資産形成が重要で、
iDeCoやNISA等の制度を拡充することが必要、ということを示すための根拠だったんですよね。
出典:金融審査会市場ワーキング・グループ報告書
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412.html
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これが現在の新NISAなどにつながっていたわけですね!
老後2000万円の収支の内訳
少し話が脱線してしまいましたが、毎月の支出は家庭ごとに異なるため、
毎月約5万5000円赤字になると計算された内訳をみていきましょう。
以下がその計算の内訳です。
出典:総務省「家計調査」(2017年)
https://www.stat.go.jp/data/kakei/2017np/gaikyo/index.html
【前提】
・夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの世帯
・夫婦ともに無職(年金暮らし)
【収入/月】 20万9198円
項目 | 金額(円) |
社会保障給付(年金) | 191,880 |
配偶者の勤め先収入 | 4,232 |
事業収入 | 4,045 |
その他収入 | 9,041 |
合計 | 209,198 |
【支出/月】26万3717円
項目 | 金額(円) |
食費 | 64,444 |
住居費 | 13,656 |
水道光熱費 | 19,267 |
日用品費 | 9,405 |
被服費 | 6,497 |
医療費 | 15,512 |
交通・通信費 | 27,576 |
教育費 | 15 |
娯楽費 | 25,077 |
その他(交際費含む) | 54,028 |
税金・社会保険料等 | 28,240 |
合計 | 263,717 |
これを見ると「平均値」での算出のためなかなか突っ込みどころ満載です。。
まず収入では、配偶者の勤め先収入4232円って月1回だけアルバイトをするケースは稀でしょう(笑)
そしていきなり「事業収入」が出てきて、いやいや平均的なモデル世帯が事業をやっている前提なの!?と驚きます。
続いて「教育費15円」て、、(笑)多くの家庭が0円のところを、世帯数で割って平均値を出してしまったから謎な数字が出てきているんですね。
といったように、この収支は全国の家計調査での平均値をもとにしているため、
一定程度は参考なるものの、各家庭に落とし込んで検討しないと、意味を持たない数字なんですよね。
特に振れ幅が大きそうなのは、住居費の1万3656円です。
戸建ての持ち家でローンを完済していれば修繕費等抜きでこの程度で済むかもしれませんが、
賃貸であればこれでは到底足りませんし、マンションの場合は管理費や修繕積立金のみでもオーバーしますね。
逆に、娯楽費や交際費等は比較的余裕を持って設定されているので、支出を減らしたい場合は節約の余地がありそうですね。
最新のデータでは老後いくら必要?
老後2000万円は、2017年の総務省「家計調査」のデータがもとでした。
あれからコロナ禍を経てついに30年のデフレ時代が終わり、インフレが加速している今、
一体いくら必要なのでしょうか。
最新の2023年の家計調査のデータで比較してみましょう。
結果は、毎月の家計の赤字は3万7915円となり、
老後に必要なお金は単純計算だと
3万7915円×12ヶ月×30年=1365万円となりました。
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あれあれ、2000万円よりも少なくなりましたね
【収入/月】 24万4580円
項目 | 2017年 | 2023年 | 増減 | 増減率 |
社会保障給付(年金) | 191,880 | 218,441 | 26,561 | 114% |
配偶者の勤め先収入 | 4,232 | 4,975 | 743 | 118% |
事業収入 | 4,045 | 4,703 | 658 | 116% |
その他収入 | 9,041 | 16,461 | 7,420 | 182% |
合計 | 209,198 | 244,580 | 35,382 | 117% |
【支出/月】 28万2497円
項目 | 2017年 | 2023年 | 増減 | 増減率 |
食費 | 64,444 | 72,930 | 8,486 | 113% |
住居費 | 13,656 | 16,827 | 3,171 | 123% |
水道光熱費 | 19,267 | 22,422 | 3,155 | 116% |
日用品費 | 9,405 | 10,477 | 1,072 | 111% |
被服費 | 6,497 | 5,159 | -1,338 | 79% |
医療費 | 15,512 | 16,879 | 1,367 | 109% |
交通・通信費 | 27,576 | 30,729 | 3,153 | 111% |
教育費 | 15 | 5 | -10 | 33% |
娯楽費 | 25,077 | 24,690 | -387 | 98% |
その他(交際費含む) | 54,028 | 50,839 | -3,189 | 94% |
税金・社会保険料等 | 28,240 | 31,538 | 3,298 | 112% |
合計 | 263,717 | 282,495 | 18,778 | 107% |
そういえば少し前に、実は老後2000万円は最新のデータでは赤字額が減っているんだ、という政府(?)の主張を耳にしたことを思い出しました。
確かに毎月の赤字額は、約5万5000円から約3万8000円と1万7000円ほど縮小していることがわかります。
しかし詳細を見てみると、収入が増加していることが要因のようで、
単純にもらえる年金額が増えたわけではなく、調査の対象が変化したことによるものと考えられます。
また、支出の増減を見てみると、食費や光熱費など生活必需品がインフレの影響で10%~20%支出が増加しています。
逆に、被服費や娯楽費・交際費等が減少していて、この調査結果を見るだけでも
各家庭が抑えられるところは抑えよう、という努力している様子が垣間見えて世知辛いです。。
上記の結果は2023年のものなのですが、特に直近1年間は輪をかけて物価高になっていることを肌で感じます。
最新の2024年のデータが出たらまた検証してみたいと思います。
都内住宅ローンあり我が家の場合
前段が長くなってしまいましたが、いよいよここからが本題です。
都内住宅ローンありの我が家の場合で老後資金を計算してみたいと思います。
支出の前提は以下を参考にしてください。


結論から言うと、我が家が必要な金額は約6500万円でした。
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え、5000万円よりあがってる・・・!?
【前提】
・パパ60歳、ママ56歳(子供が大学卒業する年齢)
・住宅ローン完済時期:パパ73歳、ママ69歳
・老後資金が貯まった時点で会社員を辞めるため年金額は国民年金の月6万8000円と仮定
・国民年金の支給開始は70歳以降になる可能性が高いため今回は住宅ローン完済後のパパ73歳からと仮定
・支出は現在の生活を維持する前提でインフレは考慮しない
・資産運用による資産の増減は考慮しない
住宅ローンの支払いで支出が大きく変わるため、時期を大きく2つに区切りました。
①老後前半(子供一人立ちから住宅ローン完済までの13年間)
②老後後半(住宅ローン完済後の20年間)
【収入】
項目 | 金額(円) |
社会保障給付(年金) | ? |
勤め先収入 | ? |
個人年金 | 43,290 |
配当収入 | 50,000 |
合計 | 93,290 |
【支出/月】 45万4360円
項目 | 金額(円) |
食費 | 45,000 |
住居費(パパ73歳まで) | 234,000 |
水道光熱費 | 20,000 |
日用品費 | 5,000 |
被服費 | 0 |
医療費 | 0 |
交通・通信費 | 5,000 |
教育費 | 0 |
娯楽費 | 40,000 |
その他(交際費含む) | 0 |
税金・社会保険料等 | 0 |
保険 | 5,360 |
お小遣い | 100,000 |
合計 | 454,360 |
<補足>
・住宅購入予定のため住居費を23万4000円に変更
・我が家では生活費以外はお小遣いから支出しているため、被服費・医療費等は0円
・お小遣いは1人あたり「毎月3万円+年2回10万円」のため月平均5万円とする
①老後前半:働いた収入はいくらあれば良い?
たとえば働いた収入が全くない場合、以下となります。
毎月の赤字:収入9万3290円-支出45万4360円=-36万1070円
必要な金額:36万1070円×12ヶ月×13年=5632万6920円
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ごせんまん!?わ、これはさすがに無理ですね・・・
全く働かないわけにはいかなさそうなので、収入別シミュレーションをしました。
働いた収入 | 0 | 10万円 | 20万円 | 30万円 |
収入 | 93,290 | 193,290 | 293,290 | 393,290 |
支出 | 454,360 | 454,360 | 454,360 | 454,360 |
毎月の赤字 | -361,070 | -261,070 | -161,070 | -61,070 |
必要な金額(×12ヶ月×13年) | -56,326,920 | -40,726,920 | -25,126,920 | -9,526,920 |
月10万円の収入で必要資金は約4000万円、月20万円で2500万円、月30万円で約1000万円となりました。
老後資金1000万円程度であれば割と現実的な金額になってきますが、夫婦で働くとしても月手取り30万だったらそこそこ働いていることになりますね、、
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なかなかFIREって難しいんですね、、
②老後後半:住宅ローン完済で憧れのFIRE生活突入?
気を取り直して、住宅ローン完済後の収支を見ていきます。
さすがにイージーモード突入していてほしいです。。
<老後前半との違い>
・住宅ローン完済後は支出が22万360円になります。
・住宅の修繕費等発生する可能性がありますが、今回はなしとして計算します。
・パパママの国民年金6万8000円×2人=13万6000円が収入に加わります。
・パパの個人年金4万3290円がなくなります。
項目 | 金額(円) |
社会保障給付(年金) | 136000 |
勤め先収入 | 0 |
個人年金 | 0 |
配当収入 | 50000 |
合計 | 186,000 |
働いた収入 | 0 | 3万円 | 5万円 | 10万円 |
収入 | 186000 | 216,000 | 236,000 | 286,000 |
支出 | 220360 | 220,360 | 220,360 | 220,360 |
毎月の赤字 | -34,360 | -4,360 | 15,640 | 65,640 |
必要な金額(×12ヶ月×13年) | -8,246,400 | -1,046,400 | 3,753,600 | 15,753,600 |
住宅ローン完済後は、働いた収入がなくてもやっていけそうな金額になりました!
だがしかし、、73歳って普通に定年を超えていますよね(笑)
ということで、FIREの夢は見事に打ち砕かれました、、
老後資金の準備方法
我が家の老後に必要な金額は6500万円となりましたが、準備方法について整理します。
支出を減らす
これは選択肢には考えていないです。
というのも、住宅ローンを含んだ支出は家計調査の平均値を上回るものの、住宅ローンを除外した場合は、
平均値を下回っているからです。
これ以上節約すると、カツカツの老後生活を送ることになるので、最低限今の支出が維持できるようにはしたいです。
サラリーマンを辞めずに厚生年金額を増やす
今回は、FIRE前提での試算をしたため、厚生年金額を全く考慮に入れない、という斬新な計算をしました。
年金は将来もらえなくなる、なんていう話も聞きますが、私たちが生きている間に完全に0円になる、ということはないと思います。
厚生年金が夫婦で月10万円でももらえれば、大分暮らしは楽になるので、サラリーマンの辞め時はシミュレーションを重ねたうえで慎重に考える必要があると実感しました。
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厚生年金って有難い制度なんですね!
老後も働いて収入を得る
今回のシミュレーションの結果、住宅ローンの支払いがある老後前半の13年間を乗り切れば、
後半はゆとりのある生活が送れることがわかりました。
そのため、老後前半の時期は完全に働くことを辞めるのではなく、
少額でも収入を得ることで、大きく資産を取り崩さなくて済みそうです。
配当金の金額を増やす
老後前半の時期は年金もまだもらえないので、配当金と個人年金の収入の有難みが増しました。
配当金が月10万円でもあれば暮らしは変わってくるので、インデックス投資と高配当株投資のバランスを考えていきたいです。
住宅ローンを繰り上げ返済する
現在35年ローンを想定していますが、毎月の支出があることの心の負担を加味すると、
多少損してでも繰り上げ返済をして早めにローンを完済するということも一案かもしれません。
(結論)老後資金の我が家の方針と感想
以上、またまた荒いシミュレーションですが、老後資金のシミュレーションをしてみました。
結論としては、「お金の使い時」を検討しながら収入と支出のバランスを検討していきたいと思います。
というのは、今子供と一緒にいる時間を犠牲にしてまで老後に楽をしたいのか?と考えるためです。
老後資金6500万円、と聞くと金額に驚く数字ですが、コツコツと積み立てれば非現実的な金額ではないかもしません。
たとえば22年間で6500万円を利回り4%で積み立てる場合、毎月約15万5000円積み立てれば、6500万円に到達します。
夫婦で育休を取得する前は、毎月30万円投資していた時期があったので、決してできない目標ではありません。
しかし、目先の資産額ばかりに囚われて、また社畜に戻って子供との時間を犠牲にした場合、
60歳になって無事リタイアできたとしても、振り返って良い人生だったと言えるでしょうか。
その時には子供は独立して、もう隣にはいてくれません。
であれば、後で多少お金に苦労することはあるかもしれませんが、今、子供と過ごせるこの時間を大切にして、
老後に少しばかり働かなければならなかっとしても、後悔はないのではないかと考えます。
今回シミュレーションしてみて、改めて自分の家計に合わせて計算してみることの重要性を感じました。
ぜひみなさんもシミュレーションしてみてください。
まとめ
- 老後必要な2000万円は直近では1365万円に減少
- 家庭ごとに収支は異なるのでシミュレーションしてみよう
- 老後と今のバランスを取って資金計画を
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生活水準は各家庭で異なりますが
ライフプランシミュレーションは早めにやっておいて損はないですね!
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